2010

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草案<一部>

環境文明21(2010年)

Kankyō Bunmei 21

「日本国憲法に『環境原則』を追加する提案(第四次案)」1
2010年10月


一 前文

日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起こることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。

日本国民は、恒久の平和と健全で恵み豊かな環境2を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想と環境の保全に対する責任を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらと将来世代の安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏そして環境の破壊から免かれ、平和のうちに持続可能な社会に生存する権利とそれを維持する責務を有することを確認する。

われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。

日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。

(注)原文を変えず、提案を太字で追加。
(注)環境とは、「あらゆる生命の基盤」を意味する。

二 第3章 環境

3の1条〔権利と責務〕
何人も、地球の営みによって形成された、生命の基盤である健全で恵み豊かな環境を享受する権利を有するとともに、この環境を保持し、且つ将来世代に継承していく責務を有する。

3の2条〔国の責務と国民の参画〕
 国は、いかなる政策を立案・実施する場合にあっても、環境の保全を優先し、人と環境が調和した持続可能な社会の構築を目指すとともに、その過程で、国民の参画を保障しなければならない。

3の3条〔予防原則〕
 何人も、人の健康または生態系に重大な影響を及ぼすおそれがある事態に対しては、科学的知見に不確実性があったとしても、未然に防止することを基本とする予防原則に立脚しなければならない。

3の4条〔国際協力〕
地球規模の環境保全は人類共通の課題であることにかんがみ、持続可能な社会の構築に関する国際協力は積極的に推進されなければならない。

(注)「第3章環境」は、現行憲法の第2章「戦争の放棄」と第3章「国民の権利及び義務」との間に、新たに挿入することを提案するものである

三 「の福祉」の概念の明確化

現行憲法の第12条、第13条、第22条及び第29条中にある「公共の福祉」の概念の中心に「持続可能な社会の創造と維持」を据えることを解釈の上で明確にする。